口語訳聖書で申命記を読むと驚くことばが出てきます。4章24節において『あなたの神、主は焼きつくす火、ねたむ神である』とあります。
32章では16節、21節(2回)に同じ言葉があります。「ねたむ」ということばを、よい意味で使うことはあまりないでしょう。広辞苑では「他人のすぐれた点を見て、うらやんで憎む」と解釈しています。行き着く方向は「憎む」で終わるのです。日本人
には誤解を招くということからでしょうか、新共同訳では「熱情の神」と訳しました。「熱情」を広辞苑では「熱心な気持」「貪欲、愛情、理想主義、嫉妬などに見られる感情状態で、一定の方向に向かって持続的に努力させ、冷静な判断をさせないもの」とあります。この結論も「冷静な判断をさせない」というのですから人間の感情を絡めると方向を間違いやすいのです。ヤコブ書4章5節に『神は……ねたむほどに愛しておられる』(新共同訳)とあります(口語訳も同じ)。この意味を含ませ
ないと方向を間違うのです。
32章の「モーセの歌」は死を目前にしたモーセがイスラエルの民に遺言のごとく伝えたものです。出エジプト以来今まで食べものを与えられ、のどが乾けば水を与えられ、今や約束の地まで与えられようとしている目前において導いてくださった神への信仰を訴えるのです。聖書の神は人間が他の神々へ誘惑され、偶像へ向かうことを「ねたむ」ほどの思いで「神への信頼」を求めておられるのです。それほど人間を愛しておられるのです。「愛」の反対は憎むではありません。「無関心」なので
す。聖書の神はあなたのことを「無関心」で、放っておくことができない方なのです。
(牧師 山下誠也)
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